現代中古バイク事情 ~2ストロークエンジンのバイクの高額取引~
2ストロークエンジンのスポーツバイクがラインナップから消え去って早10年。しかし、一部車両に関しては中古市場でまだまだ高い人気を誇っており、特に2スト時代最後を飾る90年代後半の高年式モデルは軒並みプレミアム化している。
2輪の世界や、日本の古い軽自動車などで採用されている2ストロークエンジン。原付などは大半がこのエンジンだったが、環境保護などの観点から、近年は減少傾向で、国内のバイクではもう生産されていない。
そもそも2ストロークエンジンとは何か?
2行程(ピストン1往復)で一連の流れを終えるエンジンのこと。
4ストロークエンジン(以下4スト)が、吸気・圧縮・爆発・排気の4行程(ピストンは2往復)を行うエンジンなのに対し、2ストは吸気と圧縮、爆発と排気を同時に行う。そのため、同排気量であれば、ピークパワーは4ストロークエンジンよりも高く、エンジン自体も軽くコンパクトに作ることが可能。
また「パランパラン」というアイドリング音や、チャンバーから出る白煙、甲高いエンジン音なども大きな特徴。
・2ストロークエンジンのメリット
・シリンダー内にバルブなどを持たないので、軽く・小さく作れる。
・部品点数が少ないため、コストダウンでき、整備・修理も簡単。
・同排気量なら4ストと比べて出力が高い。
・2ストロークエンジンのデメリット
・オイル管理を怠ると、潤滑ができないので焼き付き・抱き着きを起こして壊れる。
・燃費が悪く、オイルも燃やしているので、オイル代もかかる。
・排気音が大きい。
・未燃焼ガスが多く、オイルも燃やしているので排気ガス中の有害物質が多い。
同排気量での4ストと比べて出力が高いという点から、50cc~250ccのバイクでは多く使用されていたが、平成18年の自動車排出ガス規制により、新たに2ストの市販車が登場することはなくなった。しかしながら、2ストロークエンジンのバイクはバイク愛好家の中で今でも高い人気を誇り、未だに需要があるどころかプレミア化に拍車を掛けている。
問題があるとしたらパーツの絶品化。生産中止になって10年以上が経過しているため、車種によっては維持するために必要な純正部品が生産中止となっていたりする場合も多い。しかしながら現在、2ストレプリカではNSRを筆頭に多くの車種が未だに高額取引で取引されており、その価格が下がる気配はまったくない。また、オフロードモデルも同様で90年代後半モデルとなると、40万円を超えるモデルも出てくる。案外、排ガス規定がクリアされたら、2ストエンジンバイクの第二期黄金時代が到来するのかもしれない。